SFファンのブログですが、宇宙、歴史、人物などもとりあげています…
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「果しなき流れの果てに」とタイムトラベル小説
2011-09-11 Sun 09:24
ここだけの話しですが、私は古きよき時代のSFファンです。

まあ、そんなことはこのブログのスタイルを見れば一目瞭然なのですが...
幸いにも、私は日本のSF全盛時代を生きることができた人間の一人で、そのことをたいへんな幸運だと思っています。
日本のSF作家で一番好きなのは小松左京、二番目が平井和正、それから筒井康隆でしょうか。

平井和正の作品では初期の「狼男(ウルフガイ)シリーズ」とか「幻魔大戦シリーズ」などが面白かったのですけど、後期になると作品スタイルが次第にオカルトぽっくなってしまったので読むのをやめました。
筒井康隆作品では「メタモルフォセス群島」とか「家族八景(七瀬シリーズ3部作)」が好きですけど、ハチャメチャ的な感じで面白い「脱走と追跡のサンバ」という作品もありますね。

小松左京の作品は、読んでないのがないほど買って読みましたが、映画化された『日本沈没』や『復活の日』なども面白いけど、小松作品の中でやはり本格的なSFらしいSF作品と言えば、『果しなき流れの果に』ではないでしょうか。SFは、なんといっても大宇宙を舞台に縦横無尽に活躍する、というのがSFの原点のような気がします。この原点に復帰して大ヒットをしたのが『スターウォーズ』ですね。

hateshinaki.gif




『果しなき流れの果に』は時間テーマSFで、1965年に『SFマガジン』に掲載後、単行本として出版された作品ですが、あまりにもスケールが大きすぎるので今まで映画化されていませんが、恐らく未来永劫にわたって映画化されないのではないか、と予想します。ヘタにハリウッドなどで陳腐なSF映画化されるとSFファンの夢を壊してしまいますから、小松ファンの私としては永遠に映画化などして欲しくないというのが本音です...


あらすじ

(ネタバレありですので読みたくない方は飛ばしてください)


 地球、中世代白亜紀。降りしきる火山弾の中、剣竜を倒したティラノザウルス・レックスは、不思議な物音に怒り狂う。それは洞窟に隠された、金色の電話機の鳴る音であった。
N大理論物理学研究所の大泉研究室に、K大の番匠谷教授が奇妙な物体を持ち込んだ。いつまでも砂の落ち続ける、不思議な砂時計である。大泉教授の助手、野々村は、番匠谷教授とともに、砂時計の発掘された葛城山の古墳に向かった。だが、古墳の調査を行ったときから、野々村をふくめ、関係者は次々と失踪し、あるいは死んでしまう。

 野々村の恋人である佐世子は、ひとり彼を待ち続ける。いつか年老いた佐世子は、旅の老人とともに暮らすようになるが、やがて二人も死んで、事件は終了する。だが、時は果ても知らず、流れさっていくのだった。


sunadokei-mugen.jpg




 25紀。軌道エレベータ上にある超科学研究所で、古ぼけたTVセットの研究が行われていた。亡霊が現われ、未来から干渉してくる2つの勢力について警告するだ。が、亡霊の名がバンショウヤ・タカノリであることを知った工作員に資料衛星を破壊され、研究は長く滞ることになる。 時空を越える進化管理機構の超意識体、アイは、超科学研究所の破壊からもどり、第26空間の「収穫」に向かう。全宇宙に存在する全ての「意識」(生命とも読む)は、この管理機構によって育てられ、あるいは断種されるのだ。
第26空間に存在する地球は、太陽の異常で、いましも終焉を迎えようとしていた。「宇宙人」を装ったアイたち「審判者」は、破滅に瀕した太陽系から多くの球人たちを円盤でつれ去る。超能力を持つ人間を選別し、進化の階梯を進ませるのだ。 だが、管理機構に敵対するグループがいた。あらゆる変化のベクトル対する抵抗力が形象化された存在である、“ルキッフ”をリーダーとした反逆者たちである。管理機構から逃れた野々村も、その一人となっていた。彼らは、収穫」のどさくさにまぎれて多くの人材を味方に引き入れる。


ijigen-1.jpg



 
第26空間から超越者に選別された人々の一部は、別の時空間の火星にあるシトニウス基地に移される。その一人である松浦は、基地が反逆者の襲撃によって崩したとき、超意識体アイにその意識を吸収される。 松浦を吸収したアイ・マツラは、反逆者たちを追跡し、次々と捕らえていく。 ルキッフが後継者に指名た野々村は、超越者のニューヨーク支部を襲撃した後、円盤に攻撃され、白亜紀の地球にはじき飛ばされるが、時間機を修理し、未来に向かった。
一方、アイ・マツラは、自分でも理解できないほどの異常な執念で野々村を追う。地殻変動で海中に没した日本からの難民の末裔が移民したアルファ・ケンタウⅣまで出向くが、彼を発見できない。全宇宙のすべての可能性の結節点に網を張りめぐらしたアイは、白亜紀の地球で野々村の足跡を見つけ、追跡する。
 紀元前2世紀、7世紀、15世紀、と追跡は続いた。だが、同志に助けられ、野々村は未来へ逃れる。


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 45世紀。鯨座第5惑星でついに超越者たちに追いつめられた野々村は、3台の時間機のエネルギーを、一台に集中するという自殺的方法によって脱出を図るが、恐ろしい速度で超空間につっこみ、意識だけの存在となる。
全宇宙の進化管理を認識できる場にたどりついた野々村は、追いついたアイ・マツラに吸収される。そのとき、アイの中に存在する松浦と野々村の意識が激しく鳴し始め、アイは、初めて、自分がなぜ野々村にひかれたのかを知る。当人同志は知らなかったが、野々村は、松浦の子供だったのだ。  二人の共鳴に、ア自身の秩序が共振を起こし、アイは超空間に直行する方向に上昇を始める。階梯概念に逆らい、果てしなき流れの果てにあるものを求めて、アイは、問いを高に投げ上げる。
 超意識は?、超意識体は?、進化管理の意味は?、階梯とは何か? アイは、自分の属する大宇宙が、超空間において逆行宇宙として認識される、もう一つの別の宇宙とともに、新しい可能性をはらんだ第3の宇宙を生み出しつつある姿をかいまみるが、力つきて超意識体としての秩序を保てなくなってしまう。


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そして、2016年、スイス、ベルンの国立病院で、50年間眠り続けた謎の遭難者が目を覚ます。すべての記憶をなくしていた彼は、自らの帰属する場所を求めて世界をさまよううち、野々村を待ち続ける佐世子のもとに身を落ちつける。 今は老齢の身となった佐世子にせがまれ、彼は、おぼろな夢の記憶を話し出すのだった。「それは長い長い……夢のような……いや……夢物語です……」



この珠玉のような作品には、後年のいくつかの小松作品の萌芽がしっかりと詰まっています。
『日本沈没』がすでに描かれているし、『復活の日』の下書きのようなシーンの描写もあります。
また、『継ぐのは誰か』でテーマとされた”人類の次の進化”問題は、『すぺるむ・さぴえんすの冒険』でもテーマとなった”なぜこの宇宙に生命が存在するのか?”という問題と関連して、『果てしなき...』の中で徹底的に掘り下げられます。

小松左京は、この作品で単なる”面白く壮大なSFを書いたのではなく、彼なりの「生命哲学」をSFという手段を使って書いたのだと私は思います。 う一つ、この作品で感銘を受けるのは、物語の壮大さも然りですが、去ってしまった野々村を待ち続ける佐世子が流れ着いた奇妙な生涯の果てですね。いや、奇妙さという表現は相応しくないかも知れません、麗しい生涯の果てと直すべきでしょう。ともかくたいへん感動的なエピローグです。



タイムトラベル


『果しなき流れの果に』の中で扱われている時間テーマというか、タイムトラベルは古くからSFで取り上げられてきたテーマの一つで、古くはH.G.ウェルスの「タイムマシン」、ジャック・ウィリアムスンのパラレルワールドをテーマとした「航時軍団」とか、タイムパトロールものの古典とも称すべき(このタイプのSFはちょくちょく日本でも見られますね)ポール・アンダースンの「タイム・パトロール」、究極のタイムパラドックスSFと評されるロバート・A・ハインラインの「輪廻の蛇」(1959年)などという様々なプロットのタイムたラベルものがあります。


Legion_of_time(1938).jpg




これらの作品の中にはまだ読んだことのないものも多くありますが、日本のSFで時間テーマを取り上げた作品は多くありますが、その中でも注目に値するのは、「果しなき流れの果に」の他に梶尾真治の「時尼に関する覚書」(1990年)があります。同作品は、『美亜へ贈る真珠』という短編集の中に治められている小品ですが、ファンタジーロマンの傑作ともいえるこの作品です。


jini.jpeg




「時尼に関する覚書」のストリーは、次のようなものです(読みたくない方は飛ばしてください)

- 私「ヤスヒト」は昭和22年生まれ。3歳の時に初老の女性と出会う。その人は私の顔をじっと見つめ、自分の指のリングを私にはめ去っていった。 そして小2の時、またその人と出会う。名前を時尼(じにい)といった。それから年に一回ほど偶然会うのだが、不思議なことに、出会うたびに 若返っていっているようだった。時尼は自分を「そときびとだから」と説明した。「そときびと」とは未来から過去に向かって生きてゆく人種だという。 

こ作品は、主人公「ヤスヒト」は過去から未来へと進む時間軸の中に生きているのに対し、時尼は未来から過去へと逆行する時間軸の中に生きているため、おたいがコンタクトするのはそれぞれの時間軸が進行している中で起こるため、ヤスヒトは次第に青年になって行き、反対に時尼は若返って行く... という展を見せ、ついに(当然?)は若い二人は恋におちいるというクライマックスを迎えますが、二人が結ばれて間もなくして時尼はヤスヒトの前から消えてしまい、数年後に小さな子供を連れて現れ(誰の子供か想像がつきますが、これにはあとで驚く顛末があるのです)、それ以降は時尼が次第に子供になって行きます。そして、ある日、ヤスヒトは公園で泣いていた幼い時尼に出会い、その時に”自分が果たさなければならないこと”を自覚し、自分が幼い日(初めて時尼おばさんと合った)に彼女からもらった無限のシンボルのついた指輪を幼い時尼に渡します。こうして二人の時間の輪は閉じられ、二人は永遠におたがいを見守り、愛しあってきつづけるのです。

梶尾氏は、「時尼に関する覚書」を「ジェニーの肖像」に対するオマージュとして書いた、と同作品の冒頭で述べていますが、ジェニーと時尼というヒロインの名前が似ているところ、また物語の主要人物が恋におちいるところなどは似ていますが、似ているのはそこまでで、ストリーはまったく違ったもので、「ジェニーの肖像」に優るとも劣らない純日本製タイムトラベルものSFの珠玉の作品と言えるでしょう。


1-port-of-jennie.jpg


jeni-1.jpg





タイムトラベルは可能か?


 では、SFの世界ではごく普通のこととして扱われているタイム
トラベルは実際には可能かという、誰でもかなり興味を持つ問題が出てきます。 タイムトラベルの可能性については、10年ほど前に科学者らが、光速を超える「超光速」の光パルスの伝播を特定の媒体で発見したと発表したことでかなり話題になったようですが、その後、その現象はたんなる視覚効果であったことが判明したたものの、研究者たちは光子1個が光速を超える可能性があるかもしれないと考えていたようですが、AFPニュースは、2011年7月25日付の香港新聞が、《Du Shengwang氏率いる香港科技大学(Hong Kong University of Science and Technology)の研究チームは、光子1個が「宇宙の移動の法則に従っている」ことを証明したと発表》との記事を紹介し、タイムトラベルが夢物語、いや、SFの中でしか可能でないということを伝えています。香港科技大学のウェブサイトに掲載されたプレスリリースでは、Du氏は、アインシュタインが正しかったと考え、議論に決着をつけるために、史上初めて光子1個の最高速度を測定することにした。Du氏の研究チームは、測定の結果、「光子1個は光速を超えることはできなかった。アインシュタインの因果律、すなわち結果は原因なくして起こりえないとする主張が正しかったことが確認された」と発表しています。なお、この研究論文は、米国の科学査読論文誌「Physical Review Letters」に記載されています。 関連記事


未来人ジョン・タイターのケース

科学者による研究やアインシュタインの理論では、この宇宙には”光速を超えるものはない”ことになっていますが、一般的に有名なエピソードに「未来人ジョン・タイターの大予言―2036年からのタイムトラベラー」(関連サイト)
があります。これは、2000年11月2日、米国の大手ネット掲示板に、2036年からやってきたと自称する男性、ジョン・タイターが書き込みを行ったことに発端するもので、ネット掲示板やチャットを利用しての交信を通じて、タイムトラベル理論や彼が住んでいたという未来の状況、未来人である証拠などを提示したものです。(その過程でアップロードされた資料は、 現在も閲覧可能である)


タイターのタイムマシン概略図
time-traveler.jpg


タイムマシンは2034年に欧州原子核研究機構 (CERN) により試作1号機が実用化される?
cern.jpg




タイターは、最初の書き込みから約4か月後の2001年3月に「予定の任務を完了した」との言葉を残し書き込みをやめ、現在は消息を絶っていますが、タイターの予言の中には眉唾ものが多く、どうやら”お金儲け”目的で造られた架空の人物という気がしますね。


タイターの予言の中では、日本は2020年に中国に占領(?)されてしまうという
japan2020.jpg

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VIRUS - 復活の日
2011-06-10 Fri 01:03
virus2.jpg



ヨーロッパでは病原性大腸菌「O-104」の感染拡大でたいへんな騒ぎです。

病原性大腸菌「O-104」(学名:Escherichia coli O104:H21、日本語名:腸管出血性大腸菌O-104。 別名:病原性大腸菌O-104)は、Weblio辞典によれば、「病原性大腸菌の一種。「O-157」「O-111」と同じ腸管出血性大腸菌であり、「O抗原」の差異によって区別されている。腸管出血性大腸菌O-104、O-157、O-111などは基本的な働きはおおむね同じであり、ベロ毒素を生産することによって大腸の粘液細胞を破壊・死滅させ、出血性の激しい下痢を引き起こし、腎臓の機能が低下する溶血性尿毒症症候群(HUS)などを併発させる。さらに、他の一般的な食中毒の原因菌と比べて、感染力が非常に強い点も共通している」とあり、6月7日現在までの「O-104」の感染者数は、米国を含む13カ国で1500人以上、死者22人となっています。
ドイツ北部のハンブルグ市を発生源として欧米に急速に広がり猛威を奮いつつあるこの感染症は、WHO(世界保健機関)が「極めてまれなタイプの大腸菌だ」と発表しているように、感染経路がまだ判明しないため、効果的な予防法を実施できないという大きな問題を抱えています。


gripe A


世界的パンデミックの危機


感染病と言えば、最近の例では2009年から2010年にかけて世界中に流行し、多くの感染者を出したA-H1N1という種類のインフルエンザ(新型インフルエンザ、豚インフルエンザとも呼ばれる)があります。
このA-H1N1型インフルエンザによる感染者数は世界で約10万人程度、犠牲者数も500人以下という比較的少ない数(参考資料)でおさまったようですが、1918年~1919年にかけて全世界的に流行した「スペイン風邪」は、感染者数6億人、死者数は4千万人~5千万人にのぼったと推定されており、当時の世界の人口が18億~20億人程度であったことから、その三分の一が感染したという人類の歴史上初の世界的パンデミックとなり世界を恐慌に陥れました。ちなみにこの風邪が流行った時期は第一次大戦の最中でしたが、ヨーロッパ戦線における兵士たちのスペイン風邪による死者数があまりにも大きかったため戦争の終結が早まったと言われているほどですから、その凄まじさが想像できるというものです。


スペイン風邪の患者で満員の米軍野戦病院(Wikipediaより)

Spanish_flu_hospital.png



今回の「O-104」が突然変異でさらに毒性が強まったとの憶測がなされており、またスペイン風邪(実際はインフルエンザ)にせよA型インフルエンザにせよ、これらはすべて突然変異の結果、ときたま人間に対して猛威をふるうウィルス変化することは周知のことですが、将来、スペイン風邪の数倍、数十倍の威力をもつインフルエンザ・ウィルスが出現するかも知れません。


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人類の滅亡を描く『復活の日』


そして、このウィルスによる人類滅亡を描いた作品が『復活の日』です。
『復活の日』は知る人ぞ知る、日本を代表SF作家小松左京の作品で今回取り上げる『復活の日』のほかにも『日本沈没』などの作品でも有名です。
『復活の日』は、1964年にSF小説として発表され、1980年には角川春樹事務所とTBSの製作により映画化されています。

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『復活の日』の主題歌「You Are Love」(歌:Janis Ian)は英語の歌ですが、とてもうつくしい歌ですので、これを聴きながら下記の続きを読んでいただければさらに臨場感が増します(?)。なお、歌詞はページの最後にあります。




『復活の日』のあらすじ
(ネタバレありですので読みたくない方は飛ばしてください)


 1982年冬、東ドイツの陸軍細菌研究所から新種のウイルスMM-88が持ち出された。
このMM-88はマイナス10℃で自己増殖を始め、0℃を越えると猛烈な毒性を発揮する。
その時点での増殖率はマイナス10℃のときの20億倍にもなるという恐るべきウイルスであった。
 MM-88はスパイ達の手に渡り、小型飛行機に乗せられ吹雪のアルプスを越えようとしていた。
しかし、小型機は吹雪のために操縦を誤り山腹に激突、ウイルスMM-88の入ったアンプルは砕け散り、辺りに飛散した。

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 春が来て、アルプスの雪もゆるみ始めた…。
そして、各地に異変が起こり始めた。
ソ連のカザフ共和国で羊の集団死が発生。イタリアでは乳幼児が次々と意識不明に陥ったっ。
医師の多くは「イタリア風邪」と名付けた。
 初夏になると、この死亡率の高い「イタリア風邪」は世界各地で猛威をふるうようになり、そのニュースは、南極の昭和基地にも伝わった。越冬隊員の吉住周三は東京に残してきた恋人、浅見則子の身を案じるのだった。
 その頃、東京は混乱の極にあった。街頭では病死者を焼く煙りが立ち上り、病院は患者たちでごったがえしていた。看護婦の則子も不眠不休で働いていたが、医師たちも疲労と「イタリア風邪」で倒れていく。死の影が確実に忍び寄って来るのを則子は感じた。

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 一方、ワシントンのホワイトハウスでは「イタリア風邪」に対処すべく閣議が開かれていた。
席上、ガーランド将軍はソ連の陰謀説を唱えたが、その時クレムリンからのホット・ラインがソ連首相の死を伝えた。 アメリカ上院議員のバークレイは「イタリア風邪」の正体は、MM-88である事をつきとめた。それはフェニックス作戦という細菌戦略が生み落とした怪物だったのだ。しかし、もはや遅すぎた。夏も盛りを過ぎようという頃には世界は壊滅状態に陥った。リチャードソン大統領は、生存の可能性がある南極大陸の各国基地に最期のメッセージを送った。「その聖域を離れてはいけない。諸君は人類最後の希望だ。一致協力して生きる努力を傾けて頂きたい……」


残されたのは南極にいた者たちだけだった...(写真は昭和基地)

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 南極に863人を残し、世界は死滅した。
アメリカ、パーマー基地のコンウェイ提督を議長に、南極連邦委員会が結成された。そして、地球上にMM-88が蔓延している間、海中を潜行航海して偶然難を逃れたイギリス海軍の潜水艦ネレイド号がその仲間に加わった。
 1年が過ぎた。MM-88は依然として世界を征服していた。吉住は相変わらず地震研究に余念が無かったが、そこに意外な事実が浮かび上がってきた。近い将来、アメリカ東部に大地震が間違いなく起きる。それは核爆発に似た衝撃波をアメリカ本土に与えるだろうと思われた。その結果、ARS(自動報復システム)が作動しソ連へ向けてミサイルが発射される。攻撃を受けたソ連でもARSが作動。そして。発車されるミサイルのうち何基かは、今となっては南極連邦の首府であるアメリカ基地に向けられているのだ。
 誰かがワシントンに上陸し、ARSのスイッチを切らなければならない。事情に詳しいカーター少佐が志願した。そして吉住も…。

 二人を乗せたネレンド号が潜航し、ワシントンへ向かう。吉住に密かな好意を抱く女性隊員マリトは、アメリカ基地から退避する砕氷船のデッキから出港を見送った。
しかし、カーターと吉住の決死行も空しく、アメリカのもソ連のミサイルは発射されてしまった。

世界は2度死んだ。

 …数年の歳月が流れた。が、アメリン大陸を縦断する一人の男が居た。吉住である。MM-88は核爆発の放射能の影響で恐ろしい威力を失ったのだ。吉住は奇跡的に生き残り、一人南へ向かっていた。死滅した地上を、彼は歩き続けた。南には、仲間が居るのだ、愛する人達が居るのだ……  (映画パンフレットより)


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映画『復活の日』裏話


ところで、映画『復活の日』に出てくる英国の原子力潜水艦は、実際はチリ海軍の「シンプソン」で、元は第2次大戦中に建造された米軍の「バラオ」級潜水艦の「スポット」が第二次大戦後チリ海軍に売却されたもので、この映画を撮影するためにチリ海軍から「シンプソン」潜水艦を借り受けて撮影しています。


シンプソンと同型のバラオ級潜水艦クラマゴア

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また実際に南極海を航行してもらい、浮上、潜行を繰り返すさまを実際に撮影するなど、徹底的に本物にこだわった作品に仕上がっています。ちなみにシンプソンは世界で最初に南極近海を航行した通常型潜水艦であり、当時はまだ周辺の海図も完璧でなかったこともあり、氷山が散在する中の航行でした。当時のシンプソン艦長はこの功績により勲章を受けています。下の写真を見ても分かるように、第二次大戦時に建造された少々老朽化した通常型潜水艦での南極海航行は大変リスクのある操艦だったことを考えると、勲章はおろか昇進もありうるほど、当時としては画期的なことだったわけですね。それが単に映画の撮影のために行われたということに驚きます。


氷海のチリ海軍潜水艦シンプソン

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このチリ海軍潜水艦「シンプソン」の『復活の日』南極ロケーションの模様はこちらのサイトに詳しく述べられおり、内容はとても興味深いものです。ただしスペイン語ですのでGoogle Chromeの翻訳機能などを使って日本語に訳して読むといいと思います。

なお、『復活の日』にはカナダ海軍のオカナガンも撮影に協力しています。
HMCS Okanagan 2




『復活の日』のロケーションが行われた米国のパルマー基地

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シンプソンの潜行、浮上撮影はブランスフィールド海峡とゲルラッシュ海峡で行われた

ブランスフィールド海峡とその位置

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Bransfield Strait



ゲルラッシュ海峡

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チリとカナダ海軍の潜水艦の撮影が行われた海域

Ant-location.jpg



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銀河鉄道999
2009-11-21 Sat 09:41
by Loby


銀河鉄道と聞いて、すぐに『銀河鉄道999』を思い浮かべた人も多いと思います。 それほどこの松本零士のSF漫画は有名です。 ということで銀河鉄道ついでに今回は『銀河鉄道999』特集です。
同作品は1977年~1981年にかけて「少年キング」(通称アンドロメダ編)に掲載されたSF漫画です(注:1996年からの新作は通称“エターナル編”と呼ばれている)。

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を読んだ、または劇場用作品を観た方はすぐに『銀河鉄道の夜』と『銀河鉄道999』の類似性に気がつくように、『銀河鉄道999』は『銀河鉄道の夜』をベースとしていますが似ているのは銀河宇宙を列車で旅行するというアイデアだけで、ストリーはまったく独自のものです。

Galaxy Railway

銀河超特急999号のモデルとなったC62蒸気機関車
C62


ちなみに、銀河鉄道株式会社が運行する銀河超特急999号は、黄泉の国へと乗客を運ぶだけの”平和的”(?)な『銀河鉄道の夜』の軽鉄道の牽引車とはちがい、スペースオペラに耐ええる(?)スペックをもっています。すごいですね


スペック


主な登場人物たち

星野鉄郎:永遠の命に憧れ、機械の体を無料で貰えるという終着駅の星を目指してメーテルと共に999号で旅をする主人公の少年。地球生まれ。年齢は10歳~15歳(?) 好奇心旺盛で、それがもとで事件に巻き込まれることも少なくない。永遠に生きれる機械化人間になることを夢見てメーテルの誘いにのり銀河超特急999号に乗り込む。
メーテル:星野鉄郎を999号での旅へと導く謎の美女。機械帝国の女王プロメシュームの命令により機械化惑星を強化する部品にするべく、意思強固な青少年たちを女王のもとへ連れて行く... 落ち着いた大人の女性といった感じだが、勇気がないのに虚栄を張っている者、傲慢な者、生命を軽視する者などには容赦なく怒りを表す。
メーテルと鉄郎

車掌:999号の車掌であり、銀河鉄道株式会社の職員。10万以上ある銀河鉄道規則を丸暗記している(ロボットか?)。鉄郎から「くそまじめ」と言われるように真面目。乗客には敬称をつけ敬語で話す。腰が低く優柔不断なところがあり、争いごとを好まない。
999号:機械だが人工頭脳をもっており、ときにエピソードの中で重要な役割を果たすので取り上げます。人工頭脳により乗客や車掌、銀河鉄道の指令とも会話可能なほか、メーテルらには「機関車さん」と呼ばれる。人工頭脳がトラブルを起こした際には、石炭(知力燃料?またはウラン燃料)をボイラールームにくべて動力機関を発動させる。

車掌


あらすじ

999号が発着する地球メガロポリス・ステーションを中心とした超近代的な大都会とは、全く対照的にスラム化したダウンタウンに住む星野鉄郎は、銀河鉄道全線の定期券を盗んで機械人間のポリスに追われていた。その鉄郎を母そっくりな謎の女性メーテルが救った。
五年前、鉄郎が十歳の頃、機械伯爵の率いる人間狩りの一団に母親が殺された。地球の金持ち人間たちは、競って機械人間の体を買い、千年の寿命を得ていたが、貧しい人たちはそれも出来ず、次々と殺されていくだけだった。
鉄郎は母の形見のペンダントを胸に、アンドロメダに行って永遠の命をもらい、機械伯爵へ復讐を誓っていた。鉄郎はメーテルと共に、銀河鉄道999号に乗って旅に出た。最初の停車駅、土星の衛星の一つタイタンで、メーテルは胸を撃たれ連れ去られ、鉄郎は危ういところを、不思議な老女に救われる。メーテルを連れ去った山賊の首領アンタレスは、数少ない生身の人間で、鉄郎が機械人間ではなく、しかも親の仇である機械伯爵を討とうと知って、同志としてメーテルを返してくれた。
鉄郎は、アンタレスから、機械伯爵の住む時間城の場所を女海賊エメラルダスが知っていると聞き、老女の息子トチローの持っていた銃を抱いて、メーテルと共に、再び999号に乗って旅に出た。
暫くして、999号にクィーン・エメラルダス号が接近してきた。そして、時間城の現在位置が、トレーダー分岐点であることを告げると、エメラルダスは再び飛び立っていった。トレーダー分岐点、それは999号の次の停車駅。人間や機械人間の吹きだまりの絶望の街だ。鉄郎は酒場の親父から、トチローの居場所を聞いて会いに行く。トチローは機械伯爵と果敢に戦っていたが、力尽きて、すべてを鉄郎に託すと、生命体となって宇宙に消えた。
暫くして機械伯爵の放った無法者に襲われ、苦闘していた鉄郎は、トチローの友人キャプテン・ハーロックに救われる。なんとか時間城に潜入した鉄郎は、人間に郷愁を感じ仲間になった伯爵の女、リューズの助けと、応援に来たアンタレスと共に戦った。体の中に無数の不発弾を埋めこんでいるアンタレスが、胸を撃たれ、そのショックで不発弾が誘発して、そのうちの一つが機械伯爵の肩を砕いた。そして、鉄郎は命乞いする伯爵の頭に銃弾を浴びせ、遂に両親の仇を討った。そのとき鉄郎は、機械の体を人間に与えるアンドロメダ星の破壊を考えた。その星さえなければ、人間は人間らしく生きられると考えたからだ。
キャプテン・ハーロック、エメラルダスに見送られ、鉄郎はメーテルと共に、999号でさらなる旅に向かった。しかし、メーテルの表情はなぜか暗い。16歳になった鉄郎は、メーテル、999号の車掌、クリスタルガラスの体をもったウエートレス、クレアと誕生日を祝った。やがて、数々の戦艦に迎えられて、999号はアンドロメダに着いた。そこで待っていたのは、アンドロメダを支配する女王プロメシュームだ。そして、メーテルは何と、女王の娘だった。裏切られた気持で無念の鉄郎。部品にされるべく、手術室に運ばれる鉄郎。しかし、ハーロックとエメラルダスの砲撃がアンドロメダを揺るがせた。

   アルカディア号とキャプテン・ハーロック
Arcadia Space Ship ハーロック


クィーン・エメラルダス号(宇宙海賊船)
Emeraldas Space Ship

一方メーテルも、鉄郎を救出しに手術室へ入った。鉄郎と母親の板ばさみで苦しむメーテル。鉄郎はメーテルの父の生命体の入ったペンダントを投げつけた。爆発するアンドロメダを後に、鉄郎とメーテルは999号に飛び乗った。窓から爆発するアンドロメダを見てホッとする鉄郎の首を、突然現らわれたプロメシュームが締め上げた。苦しむ鉄郎。しかし、プロメシュームに抱きついたクレアが自爆して、女王と共に砕け散った。999号が地球に着いた。そして鉄郎は、再び旅に出るメーテルをいつまでも見送り続けていた。 (以上Goo映画銀河鉄道999(1979)より引用)





銀河鉄道ゴダイゴ-リメイク版


銀河鉄道遥かなり



松本零士作品では、ほかに『男おいどん』と『宇宙戦艦ヤマト』が有名ですが、『おいどん』はSFではないので差し置くとして、『宇宙戦艦』についてはあらためて取り上げたいと思います。
ところで、知っているものは知っている、知らないものは知らないことですが、松本零士さんの奥さんは同じ漫画家の牧美也子さんですが、松本零士漫画の女性キャラは牧美也子さんと結婚後にガラっと一変したのを知っていますか? それまでは松本風スタイルの女性キャラだったのです。結婚後おそらく牧美也子さんが女性キャラを描き始めたためだと思いますけど、いかにも少女漫画家である美也子さんの美しいペンタッチの女性が松本漫画に出演(?)し始めて作品はますます完璧になりました。興味深いことですね。

松本零士
松本零士

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銀河鉄道の夜
2009-11-18 Wed 02:01
by Loby


今回は『銀河鉄道の夜』の紹介です。宮沢賢治(1896- 1933)の最高傑作といわれる本作品は幻想小説であってSFではないという人もいるようですが、LobyがSFと決めたらSFになるのです
ちなみに、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』は知らないけど、松本零士の『銀河鉄道999』は知っているという人もいますけど、『銀河鉄道999』は『銀河鉄道の夜』をベースにして創作されたことは周知の事実です。『銀河鉄道999』については後述するとして、まずは『『銀河鉄道の夜』の紹介。

                 銀河は星の集まり
     銀河


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竹とり物語
2009-11-12 Thu 23:03
by Loby


 前回は『2001年 宇宙の旅』について書きました。
アーサーC.クラーク原作、スタンリー・キューブリック監督によるこの壮大な宇宙ドラマは映画のシーンを見るだけで胸がワクワクします。
Lobyのもう一つのブログで2020年にNASA(米国)が再び有人宇宙船を月に送り込む計画を進めていることを書いたばかりです。
一方、日本のNASAとでも言うべきJAXA(宇宙航空研究開発機構)の方は... 何が足りないのかまったくもたついています(悔しいですね)。
しかし、日本人よ嘆くなかれ、日本はすでに平安朝時代に月に日本人、それも女性宇宙飛行士を送り込んでいたのです

そう、それはです。

誰でも知っているとおり、かぐや姫は『竹取物語』のヒロインです。
ちなみに『竹取物語』は日本最古とされる物語だそうですが、知る人ぞ知る、知らない人は知らない(?)、なんと世界最古のSFなんですよ
つまり、竹から生まれて月に行く(正確には月に帰るですが)というのは完全なSFなのです。

『竹取物語』は誰でも知っているように、“むかし、むかし...で始まります(えっ、そこは知っているからいい?)
それでは直接、物語りの内容を省略してご紹介します。

あるところに竹取の翁というじいさんがいました。 じいさんとばあさまは子供がおらず、じいさんが作る竹細工品を作って質素に暮らしておりました。
ある日、いつものように山に入って竹やぶで仕事をはじめようとしたら、光っているが見えました。
おお、これはなんじゃろう?
と竹を切ってみると、なんと中には9センチほどの大きさのかわいい女の子がいましたとさ。
子供のいない二人は、それはたいそう喜んで自分たちの子として育てることにしました。
不思議なことに、女の子を見つけた翌日から、じいさんは竹をとりに行くと竹の中から金を見つけるようになりました。
女の子はすくすく育ち、三ヶ月で美しい女性になりました (゜ロ゜;)エェッ!?
「かぐや姫」と名づけられた女性の美しさはめとろぽりす(都)にまで知れ渡り、お金持ちのぷれいぼーいたちがワンサとプロポーズに現れるようになりました。
なかでもいしづくりのみこ(石作皇子)、くらもちのみこ(車持皇子)、あべのみうし(阿倍御主人)、おおとも の みゆき(大伴御行)、それにいそのかみ の まろ(石上 麻呂)という5人のぷれいぼーいたちは熱心で金力、色力、権力にものを言わせてなんとか「かぐや姫」をおよめさんにもらおうとしました。
「かぐや姫」はそんなぷれいぼーいたちに関心はありませんでしたが、じいさんが
私たちも年取った。生きているうちにおまえの晴れ姿をみたい
とたのむので、今まで育ててもらった恩もあり、
それでは私のお願いするものを持ってきてくれた人と結婚することにします”と約束しました。

かぐや姫がぷれいぼーい5人に持ってくるようにたのんだ物は、
いしづくりのみこ(石作皇子)=仏の御石の鉢
くらもちのみこ(車持皇子)=蓬莱の玉の枝
あべのみうし(阿倍御主人)=火鼠の裘(かわごろも)
おおとも の みゆき(大伴御行)=龍の首の珠
いそのかみ の まろ(石上 麻呂)=燕の子安貝

という、それぞれ話にしか聞いたことのない珍しい宝ばかりで、誰一人として持ってくることはできませんでした。これでかぐや姫は見事にうるさいぷれいぼーいどもを追っ払うことができましたとさ。


めでたしめでたし♪


           Kaguya-Hime
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